看護師の離職率・できること

考え方

看護師は離職率の高い職業であることはよく知られていると思う。

離職率が高い原因は様々ある。

この記事では、なぜ看護師が離職率が高いのか、離職を防ぐにはどうすればよいのかを考えていく。

看護師は離職率が高い

2020 年度の正規雇用看護職員の離職率は 10.6%、新卒採用者の離職率は 8.2%、既卒採用者の離職率は 14.9%であった。

97.pdf (nurse.or.jp)

日本看護協会が行った調査によると、毎年1割程度の看護師が退職・転職しているというのだ。

看護師は国家資格であるため、働く場所は病院以外にもたくさんあり、転職しやすい。

また、看護師資格には更新が必要ないため、一度離職したとしても、期間をあけて再就職することはそこまで難しいことではない。

離職しても何とかなることが、離職のハードルを下げているのかもしれない

どうして離職率が高いのか

看護師の就労状況を調査した、看護職員就業状況実態調査によれば、看護師の退職理由の上位5位は以下のものである。

1位.出産・育児のため

2位.結婚のため

3位.他施設への興味

4位.人間関係が良くない

5位.超過勤務が多い

2r98520000017cnt.pdf (mhlw.go.jp)

やはり女性社会であるため、ライフイベントによる離職が多いようだ。

それだけでなく、他施設への興味から、労働環境の良しあしも関係していることに加え、先ほど述べた「離職のハードルの低さ」が影響していると考えられる。

お局被害について

離職率が高いのは、上記のように「人間関係がよくない」がある。

人間関係というと、看護師の世界では、やはり上下関係であろう。

以前記事にした、お局被害に遭われている人も、それ自体が離職の原因となっているのだろう。

特に離職率の高い集中治療の領域では、そもそも希望して異動してきた人は少ないのかもしれない。

その状況の中、超重症患者を看るわけだが、異動してきた人たちは、集中治療に精通しているわけではない。

しかし、その患者に適切な処置や看護は必要である。

また、その部署独特のルールや文化があると、なおさら着いていくのが難しくなる。

着いていけない状況で、求められるものは大きく、混乱することも多い。

そして、求められるものをこちらが満たせないと、怒られるわけだ…。

なんとも理不尽なものだ。

瞬時な判断、瞬時な対応が必要なことはわかる。しかし、それによって執拗に叱責したり、集まって異動者の悪口を言うのは良くない。

これは本来、モラルハラスメントにあたる。

モラルハラスメントとは、倫理や道徳(モラル)に反した嫌がらせを意味します。

厚生労働省の定義では、「言葉や態度、身振りや文書などによって、働く人間の人格や尊厳を傷つけたり、肉体的、精神的に傷を負わせて、その人間が職場を辞めざるを得ない状況に追い込んだり、職場の雰囲気を悪くさせること」とされています。

モラルハラスメントは、上司と部下、同僚(先輩後輩、同期)同士で起こることが多く、定着率とモチベーションの低下につながるため、いわゆる悪い職場をつくる大きな要因だといえます。

モラルハラスメントとは?職場や仕事で起こりやすいモラルハラスメントを解説|ミキワメラボ (recme.jp)

モラルハラスメントは、重大なハラスメント行為であり、適正な処分が下されなければならない。

また、病院管理者はそれが起こっていることを把握しなければならないし、把握するよう努めなければならない。

しかしそういう人は一握りだ。

ほとんどの人はいい人で、優しく指導してくださる方、必要なときにはしっかりと説明、フォローしてくださる方もいる。

しかしその一握りの人が、異動者を震え上がらせ、離職に追いやり、異動者が辞める…

そして看護部が他部署から新たな異動者を補充する。

これが延々と繰り返され、お局は君臨し、離職者は後を立たず、部署の高齢化が進み、挙句の果てにお局がやめる頃に後続が育っていないという事態になりかねないのだ。

お局の指導方法研修の必修化

そういった部署をより良い環境にするためにどういった手段があるか。

前回は個人としてできることを記事にした。今回は、部署の再構築のためにどうするかを記載していく。

まずは研修の必修化を提案したい。

院内の研修は、卒業後数年間に集中している。

その後はたくさん。

しかし年数が経つにつれてどんどんと研修や教育の機会は無くなってくる。

準備されているのは希望性の副師長になるための研修ばかり。

これではお局はずっと職場にいて、自己流の指導を行い、気に入らなければ叱責するようなことになってしまう。

それに上層部はその状況を把握する場がない。

そのため、指導方法の研修を受けることはとても意味のあることだと考える。

研修内容は、言葉の選び方、ハラスメントと思われない接し方、適切なブリーフィング、デブリーフィング方法など。

また、Z世代の特徴についても知ることにより、接し方を変えることができると考える。

ぜひとも必修化してほしい。

お局を異動させる


それでも変わらない場合、部署の新陳代謝が必要。

時折病棟解散してほぼ全員を異動させ、他部署から人を集めるなど、リセットをすることもあるようだが、病棟の雰囲気が悪いのは、大抵数名に手を焼いていることによるのだ。

そういったがいることにより、影響を受けた人が、新たなるお局になったり、心を壊して離職していく。

それでは良くはならない。

そこで、異動させてしまうのだ。

「あの人はああいう言い方をするけど、言ってることは正しいから…」「あの人がいなくなると、病棟が回らなくなるから…」「あの人がいることで大きな戦力となっているから」など、いかにも受け入れようと促してくる上司もいるが、そんなものは関係ないのだ。

メンバーが良ければ、ともに戦い、支え合って解決していく。例え大変な状況であろうと、初めはうまくいかなくとも、きっと良い環境になる。

そう考えている。

モラルハラスメントを受けた人を救済する処置の整備

先程も言ったが、モラルハラスメントは重大なハラスメント行為だ。

もはや犯罪だとも考えられる。

しかし、日本人は我慢する、忍耐強い人種であるため、耐えることが良しとされていることがあるが、これにより自分を壊してしまっている人がなんと多いことか…

どうして嫌なことに耐えて、耐えて、耐え続けた挙句、自分を壊してしまうんだろうか。

自分でどうにかすることも大切だ。

だが、周りが救済しなければ抜け出せないこともあるんじゃないのか。

僕はそう考えるのだ。

まずは、モラルハラスメントを受けたことを、通報する部署が必要だ。

しかし、そんな通報をできる部署はあるのか、うちの病院には明らかとはなっていない。

規則を見ると、モラルハラスメントの存在を把握しなければならない、認識するために連絡を受ける部署を設置するなどと書いてあるが、どこに連絡すれば良いかなんて書いていないのだ。

なんのための規則か。

これでは救われない人が多すぎる。

ハラスメントを報告する部署や連絡先を、大多数のスタッフが目にするところに掲載する・周知することが必要である。

モラルハラスメントを与えた人の厳正な処分

ハラスメントを行ったスタッフには厳正な処分が必要である。

これは単なる罰というわけではなく、ハラスメントを行ったことによる責任を感じ、改善の意思を確認する必要がある。

減給、給食・謹慎処分、対象者への謝罪、改善報告書の提出など、ペナルティは様々ではあるが、加害者が反省するだけでなく、職場全体で重く受け止め、再発防止に努めるようにしなければならない。

こういった制度は、秩序を保つためには必要な制度であると考える。

互いに気持ちよく働くために、こういったペナルティなどがないにこしたことはない。

しかし、同様な被害を持たれている方が多いことを見ると、職場の運営上、上層部が目をつむっている、見て見ぬふりをしていることが多く、結局は被害者だけがつらい思いをし、職まで失うという結果になっている…。

厳正な処分制度を設けることで、ハラスメントが減少することを願いたい。

まとめ

離職率、そしてできることについて記載してきた。

ライフイベントを考慮した前向きな退職だけではなく、労働状況、人間関係が原因で離職していることも多い。

モラルハラスメントが横行しやすい環境では、報告する部署・連絡先の周知や、厳正な処分制度の制定が重要であると考える。

制度を設けるまでの道のりは、そう容易なものではないが、職場改善のためには必要不可欠なものである。

自己・同僚を守り、悪い職場環境を改善し、気持ちの良い職場環境を整えるために、ぜひとも制定してほしい。

ではまた。

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